上海から始まった間接税の一本化改革(「営業税」の「増値税」への移行)の流れが全国各地へ波及し、税収増加の減速に伴う課税強化など中国の税を取り巻く環境が急速に変化しています。コンプライアンスを含め税務を考慮した内部統制の構築が今後更に重要になってきています。今回から数回に分けて、中国税務の観点から内部統制を“チェックポイント形式”で考えてみたいと思います。
 
先ずは、全般統制から“チェック”(質問)してみましょう。全般統制は会社の税務リスクに対する姿勢と対応に対する内部統制です。それぞれのチェック内容に関係する統制手続は総務、経理など各部門長の責任において実施されることになります。前回のテーマとも重なりますが、重要なのはこのような統制手続が有効に実施されていることを会社のトップである総経理が認識し、励行しているという事実です。従って、全般統制のチェック項目の多くは会社全体の士気に影響を与える総経理(或いはそれと同等の管理職)に対して行なわれます。まずは会社全体の税務リスクに対する姿勢と対応方針をチェック項目に沿ってとらえましょう。
 
全般統制のチェック10項目:
 
□ 会社の経営に関係する主要税目、税法・通達の公布・改定を認識しているか?
□ 従業員行動規範が文書化されており、遵法精神と税法への準拠が規定されているか?
□ 従業員行動規範が管理者にも適用されているか、或いは別途同様の規定があるか?
□ 従業員の担当する職務に対する職務遂行能力標準を定めているか?
□ 従業員の責任の割当てと権限の委任が明確にされており、各人の責任と権限を当該人の業務に関係する他の従業員が認識しているか?
□ 従業員は定期的に(財務、税務担当は年に一回以上の頻度で)業務にかかわる教育研修を受ける機会を与えられているか?
□ 董事会による総経理への授権の程度、内容、金額、性質は適切であるか、税務問題が生じた場合において、当該事項を董事会に適時に開示、報告しているか?
□ 税務上の不確定事項について、必要に応じて外部専門家に問い合わせているか、或いは問い合わせる仕組みがあるか?
□ 部門間で情報を交換する制度、或いは部門長会議などの情報交換の機会が定期的にあるか?
□ 経理財務、倉庫管理、通関担当など会社の管理上重要な中間管理職員の離職に際しては、十分な期間を確保して後任者への引継が行なわれているか?
 
総経理(或いは部門管理者)は実務の細かい処理を理解する必要はありませんが、主要四税(企業所得税、増値税、営業税、個人所得税)に加え輸出入が多い会社は関税の重要性を認識し、常に税法・通達の公布・改定に注意を払っているかがポイントです。従業員には税法に対する遵法精神を徹底させ、行動規範の文書化はもちろんのこと総経理から率先して税務コンプライアンスの遵守を励行しましょう。
 
従業員の実務レベルの把握、会社の規模・税務処理の煩雑化に応じた税務責任者の割当てと権限の委譲、実務担当者に対する教育研修機会の付与なども重要です。
 
また、倉庫管理、購買、販売部門なども含めて税務処理と関わる担当者との情報交換、各部門の担当者の離職時の適切な後任の任命と引継もしっかり制度化しておきましょう。
 
上述のチェック項目は税務上の内部統制を構築する上での基本となりますので、全ての項目に対して“✓”が付けられるように頑張りましょう。