内部統制上最もリスクの高いものとして現金が挙げられます。中国では従来型の現金の手元管理から、キャッシュレス化へ移行しつつあります。キャッシュレス化ですべての支払いプロセスの「見える化」を進めましょう。
 
従来型の現金管理では、出納(財務)担当者が、唯一現金を引き出せる銀行の「人民元基本口座」から定期的に現金を引き出し、会社の金庫で保管していました。終業時間前に出納担当者が現金残高を確認するのが財務業務の一つとしてあり、定期的に財務責任者が現物確認をしていました。
 
現金は従業員の交通費、出張費、雑費などの経費精算、小規模業者への少額の支払などに使われます。包装材料、屑鉄など廃材の買取業者は少額であれば基本的に現金払いです。
 
現金の取り扱いはリスク管理上様々な問題があります。現金を引き出した後の出納担当者は窃盗のリスクを常に抱えており、経費精算では現金の受け渡しがあるため「渡した、受け取っていない」との問題も発生します。現金での受け取りがあると着服、買取業者との癒着にも注意が必要となります。
 
キャッシュレス化し全ての支払、入金業務を銀行経由に移行することで、リスク管理が格段に向上します。中国の田舎でも、日系、中国系の大手銀行は窓口業務の効率化の一環で、ネットバンキングサービスを推奨しており、中国系の銀行でも英語のソフトウェアを導入するなどしてサービスの向上に努めており、オンラインでの支払いがとても容易になっています。
 
現金からキャッシュレス(銀行振込)に切り替えていくプロセスで、従業員の経費精算、雑費の支払い、買取業者からの入金プロセスを変える必要があります。
 
従業員は原則入社時に、給与振込用の口座を人事に登録します。給与振込口座を精算金額の振込口座に利用できます。頻繁に出張し、旅費の仮払いが必要な営業職に対しては取引銀行と協力し、会社が保証人とならないものの、クレジットカードの発行に便宜を図ってもらいます。クレジットカードを持ってもらい出張旅費は担当者の立替え払いを原則とします。
 
総務関係では、事務商品は原則ネットで購入することでキャッスレス化できます。総務担当者がどうしても現金決済が必要な場合は、一定金額を仮払いしておきます。仮払金の金額は1000〜2000元を目安にし、6月末と12月末に一旦会計上仮払金を精算するプロセスを加えることで仮払金の消し込み忘れを防ぐことができます。
 
キャッシュレス化で現金の現物管理業務が減るのみならず、出納担当者が銀行に引き出しに行く必要がなくなり、業務効率が格段に上がります。精算の度に従業員が財務部門に出入りすることもなくなります。そして何より支払い、入金のプロセスが「見える化」されることで、不透明なお金のやり取りがなくなることです。
 
キャシュレスにすることで総経理はネットバンキングの使い方を勉強することになりますが、一度導入すると後戻りはできないくらい便利になります。ためらわずに進めましょう。