外国籍人員のビザ取得ポイント制度と華南地区の個人所得税優遇税制

 

昨今、中国の就労(Z)ビザの取得が年々難しくなってきている。能力の高い外国人材を中国に呼び込むために優遇政策を施行する一方で、大卒未満の学歴、60歳以上などの中国として特に求めていない外国人材についてはビザの取得条件を厳しくしている。

具体的には国家外国専家局が「外国人来華工作許可服務指南(暫定版)[1]」で必要書類等を、「外国人来華工作分類標準(試行)[2]」で外国人材の大まかな区分を定め、「積分要素計分賦値表(暫定版)[3]」で、各項目の加算ポイントを示している。具体的にみてみよう。

120点満点のうち、合計85点以上がA類(外国トップレベル)人材、60点以上がB類(外国ハイレベル)人材で、就労(Z)ビザ取得条件を満たす。

 

 

項目 レベル 点数
中国での予定年収 45万元以上 20
35−45万元 17
25−35万元 14
15−25万元 11
7−15万元 8
5−7万元 5
5万元未満 0
最終学歴 博士或いは最高級の技能資格証書保有者 20
修士 15
学士 10
就業年数 2年(1年毎に1点加算/最高20点) 5
2年未満 0
毎年の勤務月数 9ヶ月以上 15
6-9ヶ月 10
3−6ヶ月 5
3ヶ月未満 0
中国語力 HSK 5級以上/中国の大学卒/過去に中国籍を有していた者 5
HSK 4級 4
HSK 3級 3
HSK 2級 2
HSK 1級 1
勤務地域 西部地区 10
東北地区などの旧工業地域 10
国家級貧困県などの特別地区 10
その他 0
年齢 18-25歳 10
26-45歳 15
46-55歳 10
56-60歳 5
61歳以上 0
その他 トップレベルの大学卒業、フォーチュン500企業での勤務経験、知財権の保有、中国での5年以上の連続勤務経験のいずれか 5
地方政府による奨励加点 地域経済社会発展に必要な人材 0-10

 

トップレベル人材の税優遇規定としては、華南地区に勤務する外国籍(香港マカオ台湾を含む)高級職及び人材逼迫職種の個人に対する税差額補填政策(財税(201931号通達)がある。

適用地域としては、広州市、深圳市、珠海市、仏山市、恵州市、東莞市、中山市、江門市、肇慶市の9市で201911日から20231231日までの5年間に適用される。

中国の個人所得税の税負担を軽減し、優秀な人材の中国内勤務を促進する目的で、香港の給与所得税(標準税率は15%)との差額を政府(広東省及び深圳市)が補填し、当該補填に対し個人所得税の計算対象とせず免除するという内容である。

従来2014年に公布された通達により、珠海横琴地区に勤務する香港マカオ永久居民と深圳前海深港地区に勤務する外国籍(香港マカオ台湾を含む)高級職及び人材逼迫職種の人員に対し、同様の優遇政策が施行されてきたが、本通達により適用地域及び対象人員が拡大された。

高級職及び人材逼迫職種の範囲は本通達では明確でなく、広東省及び深圳市の具体的な決定を待つこととなるが、参考として、外国専家局が2017年に公布した「外国人材ビザ制度実施弁法」におけるRビザ取得者がトップレベル人材と規定されており、上記のA類人材に相当する。中国駐在前に香港(或いはマカオ台湾)に勤務しており(香港マカオ台湾での納税実績があり)、上記9市の現地法人に勤務することになったA類人材の日本人、香港マカオ台湾人であれば、当該税差額補填を享受できる可能性がある…ハードルは相当に高そうだ。