いまいまの中国帳簿管理と支払管理

 

ひところに比べると中国駐在員が減ったような気がする(自分の友人が少ないだけか)。ビザの発給条件は厳しくなるわ、駐在コストは高くなるわで、経理、人事などの特に管理系人員は減少傾向にある。一方で、販売系、サービス系、IT系などの小規模法人の設立はそれなりに活発だ。コストを抑えての現地法人設立だから、バックオフィス系のコストは抑えたいところだろうが、帳簿や支払を現地任せにするのは不安だ。日本にいながらどのように手綱を取るか。本項では記帳と支払を日本から管理する方法を考えてみたい。

 

中国のメジャーな会計ソフトは「用友」と「金蝶」でいずれもクラウド版がある。ここでは用友クラウド版の「好会計(ハオクァイジ)」[1]をみてみよう。

好会計はクラウド上でソフトを動かし、データもクラウド上に保存されるのでPCにソフトをインストールしたりデータを保存する必要がない。どのPCを使っても、どこからでもデータにアクセスできる。標準版は年間698元、これで機能的には十分なのだが、ユーザーアカウントは1つに限定される。現地法人と日本本社で同じID/パスワードを使ってデータにアクセスすることになるので、同時には使えない。それでは不便だという場合は、専業版を選択すれば年間使用料は1998元になるが、3ユーザーが別のID/パスワードでアクセスでき、また同時に使えるので便利だ。全権者を一人決め、その他の2ユーザーに閲覧のみ、編集閲覧可能、あるでんぴょうのみ入力可などのユーザー権限を与えることができるので、本社は閲覧のみなどの設定が可能だ。例えば弊社の代理記帳では、弊社が全権者となり、現地法人担当者の入力結果を確認し、本社に入力終了を連絡して本社担当者に内容を確認してもらう。本社でソフトを開いて内容を見、疑問があれば弊社、現地法人担当者に質問する。画面は中国語ではあるが会計科目はかなりの程度想像できるし、伝票それぞれに請求書、領収書などの資料が添付できるのでそれらを見ながら内容を確認すればよい。

 

連絡手段として微信(ウィーチャット)アカウントを持っておいた方がいいだろう。弊社、現地法人、日本本社でグループを作り、「入力完了しました」「確認お願いします」「在庫表送ってください」などの疑問点、確認事項といったコミュニケーションをここでする。微信はエクセル、ワード、PDFが添付でき、PCアプリもあるのでスマホでも開いて確認できるが、エクセルファイルについては私はPCやタブレットで開いてロジック(計算式)も確認するようにしている。微信の翻訳機能を使えば、現地法人からは中国語で、本社からは日本語で発信したメッセージをそれぞれが理解して自分の言語で返信してもコミュニケーションが成り立っている。便利になったものだと思う。

残高一覧表、科目明細表があり、貸借対照表、損益計算書の閲覧、エクセル形式などへの変換もできる。損益計算書は月次で横並びに並べて変動状況を比べたいところだが、これは好会計自体の機能としてはないようで、現状ではエクセルに出力して並べなおす必要がある。

予実管理なども好会計でのデータの出力が必要だろう。また、勤怠管理、給与計算、個人所得税/社保計算は好会計ソフトでは不十分なので別途エクセルで計算する。会計科目の初期設定、常時発生する取引の使用科目、計上のタイミング、添付資料などを予め現地と日本とで決めておけば、ルーチンの入力作業を担当者に任せて進めさせることができるだろう。

 

次に支払管理について。日系銀行でも中国系銀行でもオンライン決済ができるのでこれを活用する。ネットバンキングでは「入力者用」と「承認者用」の二つのUSBキーが渡される。現地法人担当者は入力キーを使ってオンライン決済画面から支払先、金額などを入力し、承認者に「入力完了」などメッセージを送る。承認者は日本で画面を開き、内容を確認して「承認」ボタンを押して決済が完了する。銀行オンライン決済ではPCアプリが必要なので、ダウンロードや初期設定が必要だ。中国系銀行アプリでは中国語がデフォルトなので、最初は多少の慣れが必要だが、ルーチン作業なので慣れれば問題ない。中国系銀行では基本OSはウインドウズ限定であることがほとんどだ。上海地区では税金の引き落とし専用口座が中国系銀行に限定されるので、日系銀行の口座をメインで使い取引の決済を行い、税金支払はこの口座から中国系銀行の税金引き落とし専用口座に振り替える、といった使い分けをする。ちなみに北京では日系銀行口座を税金引き落とし専用口座として使うことができる。最近では微信ペイ、アリペイの会社口座による決済も増えてきた。ここではスマホ(中国携帯番号)のショートメッセージで取引認証パスワードを受けて進めるなど、日本からのリモート管理が(残高確認はできても支払承認までは難しい。ここは小口現金或いは仮払いの方式で、銀行口座からの出金をなるべく抑え、毎月の入出金明細を現地法人から入手、確認するのが現実的だ。

 

クラウド会計ソフト、微信(ウィーチャット)、ネットバンキングを活用して日本からのリモートによる現地法人の帳簿管理を考えてみてはどうだろか。