2018年10月20日付けで財政部及び国家税務総局から「中華人民共和国個人所得税法実施条例(パブリックコメント募集草案)」が公布されました。11月4日までコメントを募集し、その後は若干の修正が行われ正式に公布される予定です。今回は実施条例の重要な修正ポイント及び追加事項を解説します。
 
課税所得の追加明記
 
第三条において、中国国内の源泉所得に関して、以下の二項目が個人所得税の対象となることが追記されました。
 
・中国国内で行った経営活動から取得した所得、経営活動に関係する所得
 
・中国国内の企業及びその他の経営組織、居住者が支払った或いは負担した原稿料所得、臨時所得
 
全世界所得の対象者
 
第四条において、中国国内に住所のない居住者は以下の通り定義されました。
 
中国国内に住所のない居住者とは、国内の滞在期間が年間で累計183日に達し、連続して5年間を満たさない者、或いは滞在期間が5年間を満たすものの一回の出国期間が30日を超える者をいいます。中国国内に住所のない居住者は中国国外所得を主管税務局へ届け出することで、中国国内の源泉所得のみに対して個人所得税を納付します。尚、国内の滞在期間が年間で累計183日に達し、連続して5年間を満たし、一回の出国期間が30日を超えない居住者は第6年目に183日以上滞在した場合、中国国内外の全ての源泉所得に対して個人所得税を納付する必要があります。
 
上記の規定により年間の中国滞在日数が183日を超えた場合、5年未満でも国外源泉所得を含めた全世界所得に対して中国で課税されるのではないかとの懸念が払拭されました。
 
控除項目の明記
 
第十三条において、課税所得からの控除項目が明記されました。控除項目には、国家規定に符合した企業年金、職業年金、国家規定に符合した商業健康保険、課税が繰延べられる商業養老保険の支出が含まれます。また、特別追加控除項目(子女教育費、継続教育費、重病医療費、住宅借入利息あるいは賃借料、老人扶養費)は一納税年度の課税所得税から控除可能であり、控除しきれなかった部分の繰越しは認められません。
 
外国税額控除
 
第二十三条において、中国国外源泉の総合所得は以下の計算式に基づき外国税額控除を受けることが可能です。
 
総合所得の外国税額控除額=(個人所得税法及び本実施条例に基づき計算された中国国内、国外総合所得に対する納税総額)✕国外総合所得額➗(中国国内及び国外所得総額)
 
つまり、国内外合計所得に対する国外所得の割合を上限として外国税額控除を受けることができます。
 
総合所得の納税方法
 
第三十三条において、総合所得が以下の状況にある場合、個人所得税の確定申告を行います。
 
1)二箇所或いは二箇所以上で総合所得を取得している場合は、年間の総合所得から特別追加控除項目を控除し、6万元を超える場合
 
2)役務報酬、原稿料報酬、特許使用料収入の何れかの所得があり、年間の総合所得から特別追加控除項目を控除し、6万元を超える場合
 
3)納税年度内において予納金額が課税額よりも少ない場合
 
第三十六条において、居住者が給与、賃金所得を取得した際、源泉徴収義務者に対して特別追加控除の関連情報を提供することが可能であり、源泉徴収義務者は源泉徴収の際に特別追加控除の控除手続きを実施します。納税者が同時に二箇所以上から給与、賃金を取得しており、源泉徴収義務者が特別追加控除の控除手続きを実施する場合、同一の特別追加控除は何れか一箇所で控除処理を行う。
 
非居住者の納税方法
 
第三十七条において、納税者が居住者或いは非居住者か課税所得が発生した時点で確定出来ない場合、非居住者として納税を行い、年度末終了後納税者が居住者となった場合は、規定に基づき確定申告を行います。
 
本実施条例は11月4日をもってパブリックコメントの募集が締切られており、近々正式な実施条例が公布される予定です。