前回に引き続き「中華人民共和国個人所得税法改正」に関する重要な改正内容に関して解説します。
 
六、第六条は以下の通り改定されます。(四、五は省略)
 
課税所得の計算方法:
(一)居住者の総合所得は、各納税年度の収入額から6万元の基礎控除及び特別控除、特別追加控除及び法に基づき確定したその他控除項目を控除した後の収入を課税所得額とする。
 
(二)非居住者の賃金、給与所得は毎月収入額から5千元を控除後の残額を課税所得額とする。労務報酬所得、原稿料所得、特許使用料所得はその都度の収入額を課税所得額とする。
 
(三)経営所得は、各納税年度の収入から原価、費用及び損失を控除後の残額を課税所得とする。
 
(四)財産賃貸所得は、その都度収入が4千元を超えない場合、800元を控除、4千元以上の場合は20%を費用として控除後の残額を課税所得とする。
 
(五)財産譲渡所得は、財産譲渡収入額から財産原価及び合理的な費用を控除後の残額を課税所得とする。
 
(六)利息、配当及び臨時所得は、その都度収入を課税所得とする。 労務報酬所得、原稿料所得、特許使用料所得は収入から20%の費用を控除後、残額を収入額とする。原稿料収入額は70%(更に30%減額)へ減額する。
 
本条第一項の第一号に規定されている特別控除には、居住者が国家規定の範囲に基づき納付した基本養老保険、基本医療保険、失業保険等の社会保険費及び住宅積立金などが含まれる。特別追加控除には、子女教育費、継続教育費、大病医療費、住宅借入利息あるいは賃貸料、老人扶養費等の支出が含まれる。具体的な範囲、標準、実施は国務院が確定し、全国人民代表会常務委員会に届け出を行う。
 
当該条項の変更により給与等の総合所得の個人所得税計算において基礎控除が5,000元(中国人3,500→5,000元、外国人4,800→5,000元)に統一されます。つまり、外国人に対して認められていた中国人の基礎控除に上乗せされていた1,300元が廃止され、中国人と同額の基礎控除の金額となります。また、外国人のみに適用されていた子女教育費、賃貸料などの特別控除が中国人に対しても適用となります。
 
七、第七条は以下の通り改定されます。
 
居住者が中国国外で取得した所得は、当該所得から国外で納付した個人所得額を控除することが可能であり、控除額は法律に従い計算され納税額を超えてはならない。
 
外国税額控除に関する条項であり、中国国内で計算された納税額の範囲内で外国税額控除を受けることができます。
 
(八は省略)
 
九、第八条は二条に分割され、第九条、第十条に変更されます。
 
第九条 個人所得税は所得を取得した者が納税者となり、支払いを実施する会社あるいは個人が源泉徴収義務者となる。
 
納税者が中国国民の身分証明書を所持している場合は、中国国民身分証明書番号が納税者識別番号となる。納税者が中国国民身分証明書を所持していない場合は、税務機関がその他納税者識別番号を付与する。源泉徴収義務者が源泉徴収を行う際、納税者は源泉徴収義務者に納税識別番号を提供しなければならない。
 
第十条 以下の状況の一つに合致する場合、納税者は法に基づき(自ら)申告納税手続きを行わなければならない。
 
(一)総合所得がある場合、確定申告を行う必要がある
 
(二)課税所得を取得し、源泉徴収義務者がいない場合
 
(三)課税所得を取得し、源泉徴収義務者が源泉を行わなかった場合
 
(四)国外所得を取得した場合
 
(五)国外に移住し、中国戸籍を抹消した場合
 
(六)非居住者が中国国内において二箇所以上から賃金、給与所得を取得している場合
 
(七)国務院が規定するその他の状況の場合
 
源泉徴収義務者は国家規定に基づき全員全額(全ての納税義務者の課税所得全額)を源泉徴収、申告し、納税者に対して個人所得及び源泉徴収した税金などの情報を提供する必要がある。
 
第九条の改定により、納税番号によって納税者の管理が厳格に行われ、所得が分散している場合においても名寄せが可能となり、所得の補足が強化されることになります。
 
第十条の改定により、個人が確定申告を行う必要があることが明記されました。以前は年間所得が12万元を超える個人(外国人を含む)に対して擬似的な確定申告が義務付けられていましたが、今回の改定により中国においても個人所得税の確定申告制度が施行されることになります。
 
づづく