1020日付で国家税務総局より「中華人民共和国個人所得税法実施条例(草案)」「個人所得税特別追加控除暫定弁法(草案)」が公開され、114日までの公開意見募集が行われています。今回は、前回解説した個人所得税法の追記と、実施条例(案)、追加控除弁法(案)の重要ポイントを解説します。但し一部は最終決定ではありませんのでご注意ください。

 

銀行口座情報の提出

新個人所得税法の15条では、「公安、人民銀行、金融監督管理等の関連部門は納税者の身分、金融口座情報を確定するために税務機関に協力しなければならない。(中略)個人が不動産を譲渡した場合、税務機関は不動産登記等の関連情報に基づき納税すべき個人所得税を審査する必要がある。登記機関は登記の変更手続きを行う時に当該不動産の譲渡に関連する個人所得税の納税証明書を検証しなければならない。(中略)関連部門は法律に則り納税者、源泉徴収義務者が本法の遵守状況を信用情報システムに入力し、同時に奨励あるいは懲罰を行う」とあり、既に口座開設銀行から、中国納税者番号などの個人情報の提出を求められている方もいるかと思います。日本を含む外国/地域でも税務上の居住者である場合には当該国における納税者番号(日本ならマイナンバー)の提出が求められます。各銀行口座の名寄せが簡単にできるようになり、未申告の入金に関する調査がありそうです。出向者/出張者が個人で立て替えた中国業務費用を日本本社から個人口座に入金して精算している場合などにおいて注意が必要です。

 

5年ルールの継続

ここでは中国に住所のないと判断される外国籍人員を前提とします。

実施条例案第5条において、暦年で183日以上の勤務期間となる中国居住者は、原則的には第一年目から中国国内及び国外所得に対し個人所得税が課せられますが、五年目までは、所轄の税務局に届出をすることで、国外所得の個人所得税が免税となる、と規定されています。

また、183日以上の勤務が続き、勤続六年目となった外国籍個人が、その前の直近五年間に連続30日以上の出国(中国外勤務とは書かれていません)のある場合においても、所轄の税務局に届出をすることで、国外所得の個人所得税が免税となります。

つまり、中国勤務が始まったら、五年以内(しかもギリギリの方が出国回数は少なくて済む)に連続30日の出国をするようにアレンジすることが、六年目以降の国外所得の課税回避に繋がります。これまでの五年ルールが継続され、大きな混乱は回避されそうです。

中国勤務5年間に30日以上の出国がない外国籍個人の、六年目からの国外所得は課税とされ、居住年数のリセットには、暦年で183日未満の勤務が必要です。これは従来と同じ規定ぶりとなっています。

 

追加控除項目

子女特別追加控除(第五条):納税者の子女に対する、就学前教育(3歳から)及び学歴教育(博士課程教育)までの支出につき、各子女で年間12,000元(月1000元)が課税所得から控除されます。父母ともに所得のある場合は、半々とするか、一方が100%控除するかを合意して決め、年度内の変更は不可です。

 

継続教育支出(第七条):納税者本人の技能等職業資格継続教育、専門技術人員職業資格継続教育支出には年間3,600元の所得控除があります。

 

重病治療支出第九条):一納税年度内において、社会医療保険管理情報システムの記録上の支出の個人負担が15,000元を超えた医薬費用を重病医療支出とし、年間6万元を限度として実際発生額が所得控除できます。

 

住宅ローン利息(第十二条):本人あるいは配偶者が住宅する一軒目の住宅借入利息支出については、借入金の返済期間中、年間12,000元(毎月1,000元)の所得控除が可能です。

 

住宅賃貸支出第十五条):納税者本人及び配偶者が住居を所有しておらず、賃借料を支払う場合には、都市の規模に応じて以下の所得控除があります。

(一)直轄地、省都、計画都市では年14,400元(月1,200元)

(二)市管轄区の戸籍人口が100万を超える都市では年12,000元(月1,000元)

(三)市管轄区の戸籍人口が100万以下の都市では年96,000元(月800元)

 

養老扶養支出(第二十条):納税者が60歳以上の父母及びその他法定扶養人を扶養するための支出として、年24,000元(月2,000元)を限度として所得控除が可能です。

 

外国籍個人への適用条項継続

追加控除弁法案の二十八条において、外国人子女教育費、自身の継続教育費、住宅借入利息、住宅賃借料については、上述の基準で控除することもできるし、従来の免税優遇措置を継続して選択することもできるとされました。

懸念された、借上社宅の家賃が個人の所得に算入される懸念は払拭されました。