過去数回に亘り今年立て続けに公布された税務の優遇政策に関して規定、通達等の内容を解説しましたが、今回は研究開発に対する優遇措置の通達、「企業の国外研究開発費の委託に対する税前追加控除の政策に関する通知」(財税2018 64号)を解説します。
 
本通達は企業の研究開発投資をより一層奨励し、オープンイノベーションを強化するために、企業が海外への委託研究活動で発生した研究開発費に関する企業所得税追加税前控除の政策に関して規定しています。
 
1.国外の企業に研究活動を委託し発生した費用は、実際の発生額の80%を「国外委託研究開費」として追加税前控除の対象とすると規定されています。つまり、発生した国外委託研究開発費は総額が研究開発費として計上され、更に税務上80%が追加控除の対象なることを意味します。また、追加控除は国内で発生した研究開発費の三分の二が上限となります。
例えば以下の計算に基づき追加控除額の限度額を判定します。
・国外委託研究開発費:100万元
・国内研究開発費:100万元
a. 100✕80%=80万元(国外発生額の上限)
b. 100✕2/3=67万元(国内発生額の上限)
上記の金額を比較し金額の低い方を選択します。つまり、企業所得税上の追加控除金額は「67万元」となります。
尚、委託研究開発費用の金額は独立企業間取引の原則(公正価格)である必要があり、研究開発の委託側と受託額が関連会社であった場合、委託側は研究開発の費用項目の明細を提出する必要があります。
 
2.国外の企業に研究開発を委託する場合、技術開発契約書を締結する必要があり、当該契約書は科学技術行政の主管部門から承認を取得し、登録する必要があります。
 
3.企業は企業所得税確定申告の際に優遇措置を申請する際は、「企業所得税優遇政策事項手続き弁法」の規定に基づき申告を行います。申請の際に準備が必要な資料は以下の通りです。
1)企業の委託研究開発の計画及び研究開発を承認する関連部門の決議文書
2)委託研究開発の専門部門の組織構成あるいは開発項目の状況及び研究開発人員の名簿
3)科学技術行政の主管部門へ登録した国外委託研究開発契約書書
4)「研究開発支出」の補助簿及び纏め表
5)国外委託研究開発費の支払いに関する銀行支払証憑及び受託先のインボイス
6)当年度の委託研究開発の進展状況等の資料
上記の資料は税務当局へ提出する必要はなく、会社側で税務当局の調査に備えて準備するものとなります。
 
4.企業は国外委託研究開発費用及び準備した資料の真実性、合法性に責任を持ち、法定責任を負います。
 
5.国外委託研究開発費の税前追加控除のその他の規定は、「研究開発費用税前追加控除の政策を整えることに関する通知」(財税[2015]119号)、「科学技術型中小企業の研究開発費用の税前追加控除の通知」(財税[2017]34号)、「国家税務総局の企業の研究開発費用の税前追加控除の政策の関連問題に関する公告」(国家税務総局公告2015年第97号)等の規定に基づき実施されます。
 
6.本通達のいう国外委託研究開発活動は国外の個人が実施する研究開発は対象外となります。
7.本通達は2018年1月1日より施行されます。
 
 
本通達が国内の研究開発のみならず、国外のリソースを貪欲に活用し、研究開発をより一層加速させる呼び水となることが期待されています。